趣味は映画の研究と映像収集。暇さえあれば作品鑑賞をしてますが、まだ未見の作品が棚にドッサリ・・・。香港・台湾・韓国・日本以外にも、東南アジア方面のアクション映画に関しても紹介します。
by moviefan-z


『鰐魚大災難』

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邦題:人喰いワニ ジャイアント・クロコダイル
中題:鰐魚大災難
原題:Chorake
英題:Crocodile
製作:泰国:Chaiyo Productions
   :韓国:韓振興業(株)会社,1977年

【物語】
 広島に落とされた原子爆弾の死の灰がタイに流れ着き、一匹のワニが原因不明の突然変異によって巨大化してしまう。巨大化したワニは陸に上がり、目の前にいる牛や鳥を丸呑みし、さらには川と海を行き来しながら、人間や動物を襲い始める・・・。

【解説】
 突然変異によって巨大化したワニが、普段と何ら変わらない日常生活を送る人々を恐怖のドン底へと突き落とす。特撮と残酷描写の凄まじさが話題を呼び、現在でも一部の映画マニアの間で絶賛され続けている動物パニック映画の大傑作だ。製作は『ウルトラ6兄弟対怪獣軍団』(74)『ハヌマーンと5人の仮面ライダー』(75)などで知られ、円谷英二に師事したソムポート・センゲンチャイが率いるタイのチャイヨー・プロダクション。最初から海外市場を視野に入れた映画として企画されており、合作国の相手は韓国の韓振興業株式会社に決まった。何故にタイと韓国が共同で製作したのかと言うと、過去にタイで初めて韓国映画を公開配給したのが、ニコム・シスラットなるタイの映画配給会社の社長で、彼が韓国映画界と関係を持っていたからだと言われている。ちなみに、未確認情報だが、香港から邵氏兄弟有限公司と嘉禾電影有限公司が製作協力として参加しているらしい。確かな事実に関しては今だ調査中だが、劇中では邵氏紅星の恬妮や、同時期に嘉禾映画に出演している韓国人女優の王恩姫が出演しているのが確認出来る。
 本編を観て気付くと思うが、本作はスティーヴン・スピルバーグ監督作『ジョーズ』(75)の亜流映画で、巨大サメを巨大ワニに置き換え、妻子を失った主人公たちの人物像や物語の展開も本家から引用している。だが、本作はただの亜流映画には終わらず、独自の要素を詰め込んでいるのが最大の魅力である。それは一体何かと言うと、本物のワニと偽物のワニを巧みに使った特撮場面だ。目を赤く光らせ、獲物目掛けて水上から大ジャンプする。水上生活者が密集する市場を襲撃した時は、長い尻尾で建物を破壊し、衝撃で川に投げ込まれた人間を大きい口で丸呑みし、犠牲者の手足が川底に溜まる。この大迫力で残酷的な特撮場面を演出するため、日本から円谷英二の直弟子の佐川和夫を招いている。本家の設定を引用した安い物語よりも、日本の代表的な特撮技師が手掛けた特撮場面だけでも十分観る価値はある。
 製作側の韓国で本作が公開されたのは78年暮れになってからで、『ワニの恐怖』の題名で、38745人の観客動員数を記録して興行的に成功を収めた。79年には当時の韓国映画史上最高額となる10万ドルを支払い、香港の嘉禾が海外配給権を取得したが、現在はこの韓国版の映像は紛失している。タイでは残酷描写が規制に掛ったのか、完成から数年遅れて80年に『Chorake』の題名で公開、アメリカではB級映画界の名プロデューサーのハーマン・コーエンとディック・ランドールの配給により81年に『Crocodile』、香港では82年に『鰐魚大災難』の題名で公開された。日本では劇場未公開に終わったが、後に『人喰いワニ ジャイアント・クロコダイル』の題名でビデオ発売された。この国内版ビデオは、北京語音声に中国語・英語・インドネシア語の焼付字幕が入った貴重な香港版の映像が使用されている。

【参考映像】
映像 :北京語音声,日本語、中英印文焼付字幕版VHS
     タイ語音声版DVD
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by moviefan-z | 2010-10-31 20:24 |    :南国風雲片
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