趣味は映画の研究と映像収集。暇さえあれば作品鑑賞をしてますが、まだ未見の作品が棚にドッサリ・・・。香港・台湾・韓国・日本以外にも、東南アジア方面のアクション映画に関しても紹介します。
by moviefan-z


『龍門客棧』

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邦題:血斗竜門の宿
原題:龍門客棧
英題:Dragon Inn
製作:台湾:聯邦影業有限公司,1967年

【物語】
 明朝の時代。権力を握る宦官の督主、曹少欽は東厰と錦衣衛の二大組織を使って非道の限りを尽くしていた。自分に反抗的な大臣を無実の罪で処刑し、大臣の三人の子供を竜門に流刑する。曹少欽は刺客を差し向けて子供を暗殺しようとするが、大臣の部下である朱驥によって妨げられ、妹の朱輝、剣客の蕭少滋も合流し、曹少欽の陰謀を阻止するための死闘が始まる・・・。

【解説】
 前年、邵氏兄弟有限公司で『大酔侠』(66)を発表して成功を収めた胡金銓監督が、台湾の映画プロデューサーの沙榮峰と契約し、彼が設立した聯邦影業有限公司で製作した武侠映画で、これまで映画の配給業務を行って来た聯邦の社内に、胡金銓自らが初めて製作部門を設立し、本作が製作部門の第一作目となる。本作は公開されるや、東南アジア各国で大ヒットを記録し、同時期に公開されていた『サウンド・オブ・ミュージック』(65)を上回る興行収入を得て、台湾映画産業の発展に繋がったとも言われている(胡金銓と衝突していた邵氏の邵逸夫がそのヒットぶりに激怒したという噂が残っている)。日本では翌68年に『血斗竜門の宿』の題名で北海道と中京地区で限定公開されたが、その後のドラゴン映画ブームの流れに乗って74年に『残酷ドラゴン 血斗竜門の宿』の題名で再公開されている。
 物語の舞台となるのは『大酔侠』の冒頭部分に少しだけ登場した客棧(宿場)であり、『大酔侠』でも描かれていた客棧劇をさらに発展させている。砂埃が舞う広大な荒野に寂しく建てられた古い客棧に、曹少欽の陰謀を阻止するために立ち上がった剣客の蕭少滋、朱驥、朱輝、そして曹少欽の側近として猛威を振るう皮紹棠と毛宗憲などが集まり、やがては善と悪が入り乱れる激しい攻防戦が繰り広げられる。前半の互いの正体を探り合う「静」の真理戦から後半の行動を開始する「動」の攻防戦へと物語が展開される。主な舞台が客棧だけなのにも関わらず、これだけ物語を大きく発展させていく胡金銓の演出力は素晴らしいの一言に限る。
 客棧という限られた狭い空間を利用して剣士たちが縦横無尽に飛び跳ねる剣戟アクションを演出したのは、『大酔侠』から引き続き出演兼武術指導として参加している韓英傑。彼はサーカス出身の芸人だったが、胡金銓の導きによって映画界入りを果たす。元から北派少林拳の達人であり、彼の演出と言えば伝統的な中国武術と共にトランポリンを活用した飛躍感溢れる殺陣が特徴的である。そんな彼は劇中では曹少欽の側近、毛宗憲役を演じており、吹き替え無しで高い屋根から華麗な宙返りを披露するなど、その高い身体能力を発揮していた。
 監督の胡金銓や武術指導の韓英傑といった映画界のベテランが多い中、蕭少滋役の石雋、朱輝役の上官靈鳳、朱驥役の薛漢、曹少欽役の白鷹、皮紹棠役の苗天、多刺役の萬重山、于欣役の徐楓、解差役の田鵬など、映画界に入って間もない新人が総出演しており、彼らは数ヶ月間にも及ぶ演技と殺陣の特訓をしたと言われている。中には無名時代の洪金寶や成龍がスタントマンとして撮影に参加しているらしい。

【参考資料】
映像 :北京語音声,日本語字幕版DVD
書籍 :『キン・フー武侠電影作法』(山田宏一氏、宇田川幸洋氏,草思社)
     『カンフー映画大全集』(近代映画社)
     『ジャッキー・チェン最強伝説リターンズ成龍映画大全』(講談社)

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by moviefan-z | 2009-12-22 20:58 |    :聯邦影業公司
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